【福島第一原発事故の真実】東日本壊滅はなぜ免れたのか|事故から10年経て明かされる真実【感想】
2023/07/08
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ドキュメンタリー本「福島第一原発事故の真実」を読みました。
この記事は「福島第一原発事故の真実」の感想記事です。
1.はじめに
1.1 「福島第一原発事故の真実」とは
出典:https://amzn.to/3XLCKIv
NHKメルトダウン取材班著による「福島第一原発事故」を調査をまとめたのが「福島第一原発事故の真実」です。
読むきっかけになったのはNetflixオリジナルコンテンツ「THE DAYS」です。
「THE DAYS」は福島第一原発事故をもとに描かれたドラマなのですが、あまりに鬼気迫る展開に実際の
事故がどういったものだったのか気になり、事故を扱った書物を探す中で本書にたどり着きました。
1.2 本書の概要
本書ではドキュメンタリーとして実際の事故当時の状況と、事故後の科学的な調査や多くの関係者へのヒアリングから
明らかになった調査結果をまとめた著作です。
概要は以下のとおりです。
概要
東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間10年、1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。
他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、第一級のノンフィクションがついに刊行。
思いも寄らない真相が次々明らかに
真相1 吉田所長の英断「海水注入」はほとんど原子炉に届かなかった
真相2 1号機で唯一残された冷却装置は40年間にわたり「封印」されてきた
真相3 原子炉を救う減圧装置には、高温高圧になると動作しにくくなる弱点があった
真相4 2号機の消防注水の失敗が皮肉にもメルトダウンの進行を遅らさせて「最悪の事態」を防いだ
真相5 巨大な津波に備えて、津波対策に着手していた原発があった
東日本壊滅が避けられたのは偶然の産物だった!?
極限の危機。核の暴走を食い止めようと、吉田所長らは、爆発や被ばくの恐怖と闘いながら決死の覚悟で現場にとどまり、
知恵を絞り出して、原子炉に水を入れ続けた。幸いにして、格納容器の爆発は免れた。当時の政府のシミュレーションでは、
最悪の場合、福島第一原発の半径170キロ圏内がチェルノブイリ事故の強制移住基準に達し、半径250キロ圏内が、
住民が移住を希望した場合には認めるべき汚染地域になるとされた。半径250キロとは、北は岩手県盛岡市、
南は横浜市に至る。東京を含む東日本3000万人が退避を強いられ、
これらの地域が自然放射線レベルに戻るには、数十年かかると予測されていた。
10年にわたる取材で、この最悪シナリオが回避されたのは、消防注水の失敗や格納容器のつなぎ目の隙間から圧が抜けたり
といった幾つかの偶然が重なった公算が強い。この事故では、当初考えられていた事故像が新たに発見された事実や知見によって、
どんでん返しのように変わった例は枚挙に暇がない。
この極限の危機において、人間は核を制御できていなかった。それが「真実」である。
*本書には、写真と図版をフルカラーで収録した【フルカラー・固定レイアウト版】もございます。
引用元
https://amzn.to/3XLCKIv
東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間10年、1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。
他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、第一級のノンフィクションがついに刊行。
思いも寄らない真相が次々明らかに
真相1 吉田所長の英断「海水注入」はほとんど原子炉に届かなかった
真相2 1号機で唯一残された冷却装置は40年間にわたり「封印」されてきた
真相3 原子炉を救う減圧装置には、高温高圧になると動作しにくくなる弱点があった
真相4 2号機の消防注水の失敗が皮肉にもメルトダウンの進行を遅らさせて「最悪の事態」を防いだ
真相5 巨大な津波に備えて、津波対策に着手していた原発があった
東日本壊滅が避けられたのは偶然の産物だった!?
極限の危機。核の暴走を食い止めようと、吉田所長らは、爆発や被ばくの恐怖と闘いながら決死の覚悟で現場にとどまり、
知恵を絞り出して、原子炉に水を入れ続けた。幸いにして、格納容器の爆発は免れた。当時の政府のシミュレーションでは、
最悪の場合、福島第一原発の半径170キロ圏内がチェルノブイリ事故の強制移住基準に達し、半径250キロ圏内が、
住民が移住を希望した場合には認めるべき汚染地域になるとされた。半径250キロとは、北は岩手県盛岡市、
南は横浜市に至る。東京を含む東日本3000万人が退避を強いられ、
これらの地域が自然放射線レベルに戻るには、数十年かかると予測されていた。
10年にわたる取材で、この最悪シナリオが回避されたのは、消防注水の失敗や格納容器のつなぎ目の隙間から圧が抜けたり
といった幾つかの偶然が重なった公算が強い。この事故では、当初考えられていた事故像が新たに発見された事実や知見によって、
どんでん返しのように変わった例は枚挙に暇がない。
この極限の危機において、人間は核を制御できていなかった。それが「真実」である。
*本書には、写真と図版をフルカラーで収録した【フルカラー・固定レイアウト版】もございます。
引用元
https://amzn.to/3XLCKIv
真相1~真相5のタイトルだけでもかなりショッキングな内容になっています。
では本書の感想について行ってみたいと思います。
2.感想
本書は大きく分けて2部構成となっています。
「第一部ドキュメント福島第一原発事故」
「第二部「検証」事故はなぜ起きたのか?本当に防ぐことはできなかったのか?」
第一部は「fukushima50」や「THE DAYS」で描かれた事故当時の内容を取材や様々な資料をもとにまとめています。
映画やドラマでは描き切れなかった細かい状況を再現しています。
当時の内閣総理大臣菅直人を含め当時の危機管理体制、指揮系統が確立されない中で現場の人間の
工夫やリスクにどれほど依存していたのかがヒシヒシと伝わってきました。
第一部はそういった印象が強かったです。
第二部は事故10年経って分かってきた真相が明らかになってきたことがまとめられています。
事故による被害規模をもっと極小化することができたのではないかという内容になっています。
津波による被害を把握していたのに、対策が遅れたために全電源喪失という非常事態を回避できなかったこと。
さらには本店や官邸の指示を無視してまで実施した1号機への海水投入に効果がなかったこと。
などなど一部のドラマティックな展開を読んだ後からするとまさかの実態が明らかにされています。
一部の内容でも相当衝撃的ではありましたが、二部の内容はそれにもまして衝撃的でした。
「東日本壊滅はなぜ免れたのか」の解としては、現場の方々の尽力もあったものの、
シンプルに「運が良かった」と書いているように感じました。
チェルノブイリに比べて遥かに小さい被害規模で原発事故が収まって本当によかったと思いました。
3.総評
総評は★5つです。
総ページ数700を超える内容で事故当時の対応と事故後の調査により分かってきた事実を丁寧に答え合わせ
しているような構成で興味深く読むことができました。
事故後の対応はまだ終わっていない継続中のものなので、多くの方に手を取ってほしい本だと思いました。
福島第一原発事故の「真実」 Kindle版 Amazon.co.jpで詳細を見る https://amzn.to/3XLCKIv |
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